相続が開始した場合には,被相続人が所有していた不動産は,被相続人の死亡と同時に相続人に承継されます。
そのため,被相続人が所有していた不動産については,被相続人が死亡した日付で,「年月日相続」を登記原因として,相続人に所有権移転登記をすることになります。
相続登記については,いつまでに申請しなければならないという期間制限はありません。
しかし,あまり期間が経過すると,相続人が死亡して第2の相続が開始してしまうこともあり,相続登記に必要な書類を集めるのに苦労することがあります。
なお,相続税については,相続が開始した日の翌日から10カ月以内に申告しなければならないと,期間制限があります。
1.法定相続分(民法が定める相続分)で相続登記を申請する場合
① 被相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
被相続人が12歳くらいから,死亡するまでのすべての戸籍全部事項証明書が必要です。
戸籍は,以前はバインダーにつづってある縦書きのものでしたが,現在はコンピューターで処理されています。
以前の縦書きのものは戸籍謄本といいましたが,現在は全部事項証明書といいます。
これは登記簿も同じで,以前は登記簿謄本でしたが,現在では全部事項証明書といいます。
謄本とは,記載された内容をすべて写したものをいいます。
一部だけ,たとえば戸籍に記載された数人のうち一部の人だけについて写したものを抄本(一部事項証明書)といいます。
② 相続人の戸籍一部事項証明書(戸籍抄本)
相続人が現在生存していることを証明するためです。
被相続人の戸籍全部事項証明書に記載されている相続人は,①とは別に提出する必要はありません。
③ 不動産の所有者となる相続人の住民票の写し
不動産の所有者となる相続人の正しい住所を登記をするためです。
2.相続人の遺産分割協議によって法定相続分と異なる割合で相続登記を申請する場合
遺産分割協議書に相続人全員が実印を押印し,1.の書類のほかに,
が必要となります。
3.遺言書に基づいて相続登記を申請する場合
被相続人が遺言書で相続人の一部に所有する土地を相続させると指定していた場合,
が必要となります。
なお,被相続人の戸籍全部事項証明書でも問題はありません。